会社分割制度は商法を改正して設けられた新制度で、企業の組織再生の促進を目的としている。２０００年(平成１２年)５月に、改正商法と分割にともなう従業員の保謹策を定めた『労働契約承継法』が設立され、２００１年４月１日に施行された。

会社分割制度は大きく２つに分けられる。

まず、企業から事業部門を分離して新設会社に引き継ぐパターンを『新設分割』といい、企業の成長部門を独立させるときに用いる。
『新設分割』の中には、独立する企業の株式が親会社に割り当てられる子会社型分割と、独立する会社の株式が株主に割り当てられる並列型分割の２つがある。

もう一方は『吸収分割』といい、既存の別の会社に企業を引き渡すパターンである。大企業が中小企業の成長部門を吸収するときなどに用いられる。

会社の分割をするには、分割計画を債権者や株主などに提示し、株主総会の特別決議で承認を得る必要がある。
ただし分割による資産の移動が、元の会社の総資産に対し５％を下回る場合は、株主総会で承認を得る段階を省略出来る。これを簡易分割手続きという。この方法では裁判所が選んだ検査役による資産内容の調査は必要なく、債権者の債務移転への同意も通知すればよい。

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会社分割に株主が反対した場合、株主側には会社に株式の買取を要求する請求権が、債権者側には元の会社に払い戻しを要求する異議申し立て権が認められている。
手続きに不満がある場合には、株主などが会社分割を無効とする裁判を起こす事も可能である。

会社分割の際、会社は株主総会を開く２週間前に労働者との事前協議をする必要がある。労働契約承継法によって、労働組合と締結している労働協約は親会社に引き継ぐものと定められている。
独立する部門に在籍する従業員は、本人の同意がなくても事前通知のみで転籍できる。また、独立する部門に従業員を異動する場合は、従業員側に転籍を拒否する権利が認められている。

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東京証券取引所は上場規制を改正し、一定条件を満たしていれば独立して出来た新会社の株式も、分割すると同時に上場できるようにしている。


会社分割制度が設立されたことで、１９９７年には持ち株会社が解禁され、９９年の株式交換制度導入と合わせて企業再編法制が整備され、グループ内の事業部門の整理、他社が持つ事業部門との吸収合併などが容易になり、効率の良い経営や国際社会での競争力強化に?がるとの期待がある。
日本興業銀行、富士銀行、第一勘業銀行のと統合によって誕生した『みずほフィナンシャルグループ』が、２０００年秋の段階で持ち株会社を設立し、会社分割制度を利用して２００２年春までには部門別の再編成を行う計画をいち早く進めた。みずほフィナンシャルグループは、その後実際に統合と子会社化を繰り返している。